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【取材記事】カラダと地球に優しい次世代フード “クリケットプロテイン” INNOCECT ブランドイメージとその想い
株式会社ODD FUTURE様
株式会社ODD FUTUREは、「サステナブルな新しい選 択肢を世界に」をビジョンにかかげ、2020年に創業した会社です。近年注目を集める昆虫食の一種、コオロギを用いたフードテック事業、 原料/OEM事業を運営。本日は創業の経緯や会社紹介、プロダクトの打ち出し方についての経緯や困難などを村山様にお伺いしました。
【お話を伺った方】
村山駿(むらやま しゅん)様
株式会社ODDFUTURE プロダクトマネージャー
平成9年2月8日生まれ 静岡県出身。学生時代にアントレプレナーシッププログラムにて事業立案を経験。新卒で大手人材会社に就職し、個人事業主様〜従業員数1,000名を超える上場企業様まで、IT業界を中心に採用のコンサルティングを行う。その後、国内最大級の社員クチコミサイトのプロダクトマーケティングに従事。株式会社ODDFUTUREにてサステナブルフードブランド「INNOCECT」のPdMとして、商品の企画開発〜販売、採用まで領域にとらわれず幅広く活動。
mySDG編集部:創業の経緯からお伺いします。
村山さん:創業の経緯は、代表が大学卒業後、繊維系の商社でアパレルのOEM
に従事し、アジアで大量生産大量廃棄のモノづくりをしていたことからの話になります。
大学卒業時にはアパレル系に関心があり、繊維系の商社に入社したんです。しかし、大量生産、大量廃棄が常になっている業界に勤めて1年半程経ったとき、地球環境にとって本当にこのビジネスでいいのかと疑問を抱いたんです。環境問題のニュースなどが話題となる中で自らの仕事の現状に危機感を持ったことが始まりですね。
mySDG編集部:アパレルからなぜ昆虫食に結びついたのでしょう?
村山さん:2つあります。まず1つ目は、服は1日に1回着替えるのが一般的ですが食事は1日3回摂りますよね。回数の観点では非常に接点が多いので取り組む要素として注目しやすかった。
もう1つの理由は、地元に昆虫食があったからです。長野地方はイナゴを食べる文化がありますが、代表と私の出身地である静岡の田舎の地域では、蜂の子などの昆虫を食べる文化があるんです。幼い頃に祖父が昆虫を食べてたのを見て、衝撃を受けたことを思い出したんですね。そこで「食」+「昆虫」で何ができないか。と思い立ったことがスタートですね。
mySDG編集部:御社のご紹介をお願いします。
村山さん:はい。弊社は2020年に創業したばかりの、代表も現在26歳と非常に若い会社です。「サステナブルな食と未来の選択肢を。」というビジョンを掲げ、取り組んでいます。
持続可能な食の未来を作り出す選択肢として、コオロギを用いた代替タンパク食品の製造販売と法人企業向けの食品開発事業を運営しております。
現在はコオロギのプロダクトをメインに扱っているので、コオロギの会社だと思われがちですが、、弊社としては「持続可能な食の未来を作り出す」というところがテーマなので、ここに対してのアプローチとしてコオロギを選んでいるというスタンスになります。
mySDG編集部:持続可能な食の未来のために、コオロギはどんな役割を果たすのでしょうか?
村山さん:今、世界中で気候変動と人口増加によるタンパク質危機が大きな問題になっていますよね。SDGsでいうと13番にあたる、地球環境に負荷がかかっている部分です。畜産業が排出するCO2がかなり大きなダメージを与えていることも問題視されていて、畜産を代替タンパクに変えて地球環境の負荷を少なくする取り組みにコオロギがとても有効です。
また、12番の「持続可能な消費と生産」という観点でも地球環境への負荷が少なく生産できる代替タンパク質として魅力的な原料だと考えています。
代替タンパク質の市場は2030年には3.3兆円程になると予測されていて、その選択肢に植物肉や培養肉、菌などに並んで昆虫があり、弊社はこの昆虫を選んで事業を進めているということです。
mySDG編集部:なぜコオロギを選んだのでしょうか?
村山さん:コオロギは、生育コストや地球環境への負荷がかなり低いからですね。
海外では日本とは違い、水資源がとても貴重です。カナダに留学をしていた時に「お風呂に入るときは30分」「洗濯機を使うのは1週間に1回だよ」とホストファミリーから言われたことがあります。日本は海に囲まれている島国なので、水が貴重というイメージはあまりないですよね。
牛とコオロギを育てる場合、「水」の使用量を比較したときには、約6000分の1で育てることが可能です。さらに「餌」は6分の1。「CO2の排出量」に関しては、牛のゲップにかなりCO2が含まれていることもあり、21分の1。それなのに、栄養は牛の3倍もある。こういった環境負荷が少ないかつ、生産しやすいという理由からコオロギを選んでいます。
mySDG編集部:コオロギはメリットが高いですね。
村山さん:はい。現在の牛や豚、鳥の動物性タンパク質を、わずか「5%代替」するだけで30年後には「50万トンのCO2排出を削減できる」という試算も出ています。
これがどれくらいの規模感か例えると「人間のCO2の年間排出量は350kg」なので、「1.33億人分」に該当する。日本の総人口以上のCO2排出を削減可能ということです。
コオロギを代替えタンパクとして活用すると、一定数のインパクトがありそうだということです。
左:ナチュラルクリケットパウダー 中央:クリケットプロテイン 右:クリケットコーヒー※販売終了 前方:クリケットプロテインバー抹茶味・チョコ味
村山さん:プロダクトはクリケットプロテインと、クリケットプロテインバー、ナチュラルクリケットパウダーです。僕が常用で飲んでいるのは、抹茶味のプロテインです。
コオロギ自体が甲殻類に含まれるので、エビ・カニを炒ったような香味があるんですが、抹茶のさっぱりとした甘みに香ばしい感じが加わって個人的にはすごく好きなんです。
もう一つはチョコ味です。こっちもおいしくて、多くの人に好まれるのはチョコ味ですね。
mySDG編集部:甲殻類のコオロギは和風だしとして優秀と伺ったことがあります。
村山さん:そうですね。弊社の販売チャネルのEC、Amazonや楽天で一番売れているのは、コオロギ100%パウダーの「ナチュラルクリケットパウダー」なんです。もしかしたら料理用のだしとして使われているのかもしれませんね。パウダー状だと使い勝手も良いですからね。
mySDG編集部:御社のプロダクトイメージは、昆虫感がなく、とてもナチュラルで健康的な印象でした。このような方向性になった理由をお伺いしたいです。
村山さん:商品のイメージについては弊社の中でよく話題に上がります。コオロギや昆虫食はパーティーフードのような側面もあって、コオロギを扱う事業者さんは、素揚げや形の残っている状態、昆虫感があるものを販売していて、それが非常に多く感じます。
弊社のメンバーは20代が多いのですが、「昆虫、食べたい?」と聞くと、正直なところ積極的に食べたいと答えるメンバーはあまり多くないんですよね。
昆虫の形を残したままだと、反応は良いとはいえない現状ですから、どんなに有能な食品も、高級食材も、見え方やイメージを変えないと食べてもらえないという共通概念がありました。
そこで、コオロギの名前を「クリケット」と表現したり、パッケージにあえてコオロギ感を出さないデザインにしたりなど、打ち出し方を変えていきました。
製品のメッセージとしては、コオロギに含まれているタンパク質、美容にいい成分、吸収率がいいという内容を “コオロギを食べる” というメッセージから分解して、メリット部分をわかりやすく伝えています。あくまで一つの食材を、加工してお渡しするというイメージですね。
手に取ってもらうための選択をしていくと、この方向性になったんです。
mySDG編集部:なるほどそうですよね。牛や豚を食べる時と同じように、コオロギも原料としてのメリットや栄養価などを認識していればそれでよいのかなと感じました。
村山さん:私たちも、本当に今の選択をしてよかったと思っています。商品をロフトさんに置いていただいたことがきっかけでTVで紹介してもらったり、AbemaTVのプロテイン特集に取り上げて頂いたりと、徐々にメディア露出が増えています。こうした実績を少しづつ重ねていくことで、コオロギが新しい食の選択肢として徐々に広まっていくと思っています。
弊社では近い将来、肉の価格が高騰すると予測しています。いずれ、肉が高価格帯になったときに動物性タンパクを摂る選択肢として「コオロギってあってもいいよね」という存在になっていて欲しいので、世の中に馴染めるようなブランディングを心がけていきます。
mySDG編集部:現在のブランドイメージに至るまでに難しかったことはあるのでしょうか?
村山さん:そうですね。初めは本当にどういう売り出し方をしたら売れるのかわからなかった部分もあります。実はプロテインのパッケージは販売当初と変わっているんですね。
狙いとしてはオーガニック感を想起してもらえるようなパッケージをコンセプトにデザインしたのですが、何を伝えたいのか、誰に買ってもらいたいのかが伝わりにくかったんです。
しかし、クリケットプロテインを売り出した時、購入頂いているお客様は「身体や健康に気を使っている女性」というデータがとれました。
そこで、ターゲットを女性に絞り、プロテインを飲まれる女性の生活を考えました。現存するプロテインのパッケージは、ほぼ男性が好むデザインで「健康に気を遣っている女性」の部屋にはアンマッチだということに気付いたんです。
さらに想像を膨らませ、男性好みのパッケージのプロテインを、女性がお店で購入して持って帰るのは、ちょっと恥ずかしいのではないか?とか部屋に置いてあっても友達が来たら隠したくなるのではないか?と考えたんです。
“常用品” にしたいと考えているので、部屋に置いても可愛らしく、友だちの興味も引けるようなパッケージにしたいと検討を重ねた結果、現在のデザインになりました。打ち出し方には苦労しましたね。
mySDG編集部:それから、現在はどのような展開になっているのでしょうか?
村山さん:ファーストプロダクトのクリケットプロテイン チョコレート味に加えて、抹茶味とプロテインバー チョコレート / 抹茶を販売しています。
コオロギ関連の商品を扱っている企業が10社ほどあり、昆虫食を扱う企業が増えていく中で、「コオロギや昆虫食を使ってみたい」というお声がけが増えています。
弊社としてはINNOCECTのブランドラインナップを拡充していくとともに、昆虫食マーケットの拡大を目的にコオロギを活用した製品を作りたいという企業様とのプロダクト開発も推進していきたいと考えています。
mySDG編集部:SDGsの観点からお話しさせていただくと、御社は、健康的になれるための食品の提案という形で打ち出していますが、他社様は代替えタンパク源ということでコオロギの栄養素を前面にアピールしていると思います。
ODD FUTURE様はこれからどのような「持続可能」をめざすのか、お聞かせ下さい。
村山さん:「持続可能」という観点で現在の食の選択肢を見ると、まだ不十分だと思っています。
弊社は「サステナブルな新しい選択肢を世界に」というビジョンを掲げ、コオロギ原料を活用した食品ブランド「INNOCECT」や昆虫食品の企画・製造経験を活かしたOEM事業を行っています。
地球環境に負荷が少ない食品原料や加工方法を日本、そして世界に広めていく、その第一歩目がコオロギです。ゆくゆくは、コオロギ以外の新しい原料の開発もしていきたいです。
このような取り組みを行うことで食の選択肢が増え、結果的に持続可能な世界に近づいていくと考えています。
mySDG編集部:ちなみに、コオロギ以外ではどのような素材をお考えなのでしょうか?
村山さん:今は人に対して食べ物を提供しているんですが、動物の飼料としても昆虫を使う可能性があると考えています。製造原価がかからず、環境負荷が少ないミルワームなどを原料として動物用の飼料を作っていく構想ですね。
現在は穀物などを家畜の餌にしていますが、代替えとして昆虫を粉末状にしたり、加工をかけた飼料を与える。地球環境の悪化で干ばつなどが起こり、穀物の価格が安定しない場合、ミルワームなどの昆虫を使えば、地球環境の変化によるリスクにも対策を講じることができると考えています。
ただ今、最優先に考えているのは、食習慣の一つとして、昆虫を食べるという選択肢を作ることです。
例えば、朝はクリケットプロテインを飲んで、ランチは大豆ミート。ディナーは高級なお肉を食べるなど、食のスタイルを少し変えて、地球環境に配慮した食生活を選ぶ人を増やしていきたいです。
次世代の人が住む地球環境を維持していくために、現代の自分たちが、地球環境に負荷が少ない食事を一食だけでも取り入れようという意識を持つ人が増えて欲しい。
そのために必要な活動をしていき、選んでいただける商品を作ろうと考えています。
mySDG編集部:地球環境を守る意識が根底に強くあるのですね。反面、メッセージとしては「栄養豊富でおいしい」「おしゃれでかわいい」などのイメージがとても重要なことがわかりました。まずは商品を広めることが未来の地球を守ることになるんですよね。
村山さん:“地球環境にいい” だけのメッセージでは広まらないですからね。
SDGsに添ったメッセージは、BtoCだとそれぞれの人の興味関心やリテラシーの幅がとても広いこともあり、伝わり方に斑が出ます。そこで関心を引く糸口として「食」がとても強い。
入りやすい入り口から関心を持っていただいて、後から「この商品を取り入れたことで環境にいいことをしたんだな」と気付いてもらう形にできたらいいと考えてます。
mySDG編集部:最後に今後の目標や展望をお願いします。
村山さん:まず弊社が目指していることは、日本におけるコオロギ、そして昆虫食市場を作っていくというところがミッションだと考えています。
コオロギを扱っている競合の企業さんと共に、成長過程の市場を一緒に広げているという意識をとても強く持っています。
選ぶ軸に地球環境への意識がなくても、既存の製品から昆虫原料製品への置き換えができる世界。よい商品を選ぶだけで、実は地球環境に良いことをしているという環境を作っていきたい。
僕も、朝はこのクリケットプロテインバー、昼はプロテインのシェイク、夜は今まで通り友人と食事に行く食生活に変わりました。このように5%の人が食生活を変えて、日本の総人口分のCO2を減らせたらと思っています。
mySDG編集部:新たな選択肢のクリケットプロテインが既にあるので、あとは私たちが選ぶだけですね。今回は貴重なお話をありがとうございました。
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