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【取材記事】従業員の明るい未来を切り拓くための伴走者、福利厚生弁護士の取り組みと展望

燈友法律事務所

政府の働き方改革の推奨により、日本の企業では従業員の心身の健康に配慮するようになっています。

それに伴い、健康経営やウェルビーイング経営にフォーカスした福利厚生サービスの多様化が展開されています。

とはいえ、プライベートの悩みを抱え、誰にも相談できないという従業員が少なからずいるのが現状です。

今回、そんな人たちを長期的にサポートする福利厚生弁護士サービスを展開する鈴木正靖弁護士に、サービスの立ち上げのこと、概要、今後の展開についてお話を伺いました




【お話を伺った方】

鈴木 正靖(すずき まさやす)様
燈友(とうゆう)法律事務所 代表パートナー弁護士、米国ニューヨーク州及びイリノイ州弁護士。兵庫県弁護士会所属。
早稲田大学法学部、京都大学法科大学院、米国デューク大学ロースクール卒業。国内最大手の西村あさひ法律事務所でキャリアをスタートし、上場大企業に関する最先端の企業法務に従事。
また、ENEOS株式会社での定期常駐執務や株式会社資生堂ビジネスディベロップメント部への出向により、ビジネスの最前線で活躍。
その後、米国留学を経て、地域貢献のため、2021年神戸にて独立。
現在は、上場/大企業、中小企業、スタートアップなど、企業の伴走者として、弁護士の枠を超えて活躍。
企業内部での業務経験を基に、現場主義の課題発見・解決を得意とする。SDGsや社会貢献を大切にしている。
公式HP:https://toyu-law.com/lawyers/#suzuki_masayasu


■弁護士として周囲の人々と地域社会全体を豊かで幸せにしていきたい

mySDG編集部:弁護士の方や法律事務所がSDGsとどのような関係性をお持ちかを知りたいです。元々はどのようなことを専門にしている法律事務所様でしょうか。

鈴木弁護士:仕事内容としては、企業様と個人様の両方を取り扱っています。企業様のお仕事がメインですが、個人様の離婚といった一般的なトラブルの相談にも乗っています。

mySDG編集部:SDGsやエシカルに積極的に取り組んでいる企業様は、自然の流れで取り組んでいるイメージがあります。そちらの事務所様ではどういったことを意識しながらSDGsと繋げているのでしょうか。

鈴木弁護士:持続可能な社会を創るためには、個人が持続可能でなければならないと思います。
そのため、個人の自己実現への貢献を目指しています。

また、地域社会との繋がりも大事にしており、例えば、私どもの法律事務所は、兵庫県内の企業や団体が社会的課題の解決と地域活性化を図る「ひょうごSDGs Hub 」という集まりに、神戸市内の弁護士事務所で唯一加入しています。

まず、私の経歴をお話させていただきます。私の父親は、従業員数名の小さな製造業を経営していました。

そのため、生まれながらに、「自分の力で生きていかなければならない」「経済のために貢献して日本を良くしよう」という自立心が強かったのです。

弁護士になると決めたときも、弁護士になるのはあくまでも「手段」でした。
弁護士の仕事を通して、経済や地域に貢献するなど、社会のために行動したいという思いを最初から持っていました。

弁護士になった当初は、東京で企業法務弁護士としてM&Aなどの大企業関係の仕事をしていました。
しかし、キャリアを積んでいくうちに、企業様だけではなく、個人や地域社会により深く関わりたいというマインドが強くなりました。

また、日本を外から見たいという気持ちがあり、アメリカ留学もしました。
アメリカでは、大学院でヒューマンライツの授業などを取り、卒業後に国際人権NGOでも働いていたことがあります。

アメリカ留学時代は、グローバルな形で人権活動に取り組もうと思っていたこともありましたが、ある日、アメリカで出会った方から、「グローバルで活躍するのも素晴らしいけれど、日本には困っている人はいないの?」という質問を受けました。

それを機に、自分の歩むべき道について改めて考えるようになり、初心にかえって、「まず自分の手の届く範囲の人たちを豊かで幸せにして、社会に貢献しよう」と決意しました。

以上の経緯により、アメリカで世界を相手にする仕事ではなく、地域の経済や社会を支えたいと思い、日本に帰ってきました。
現在取り組んでいるのは、会社と地域のために色々な仕事をし、そこから社会や経済を元気にするという形です。
SDGsとの関連では、目標8である「働き方も経済成長も」というキーワードで展開しています。


■働く人たちに寄り添い、相談しやすい場をつくる福利厚生弁護士

mySDG編集部:福利厚生弁護士サービスをスタートしたきっかけを教えてください。

鈴木弁護士:元々、企業法務の仕事をメインにしていましたが、企業や経営者の相談を受けているうちに、「うちの従業員が色々な悩みを抱えているので、話を聞いてほしい」という声がありました。

このように顧問弁護士業務の流れで従業員の相談を聞くことができますが、これだと経営者が気付いていない場合には、相談に対応することができません。

そもそもプライベートな悩みを全て経営者に相談することはハードルが高いですし、誰にも相談できないという従業員の方も多いです。
そこで、従業員の方が直接弁護士に相談できる仕組みが大事と改めて感じ、福利厚生弁護士サービスを始めました。
2021年に一般社団法人弁護士EAP協会 (※注1)が設立されたため、2022年から私も加入しています。

(※注1)一般社団法人弁護士EAP協会:弁護士によるEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)を展開し、法律の専門家としての視点で従業員の抱える問題を分析し、改善・解決を目指すことを軸としている協会。

mySDG編集部PR TIMESに掲載された事務所の記事 に「福利厚生弁護士」と書いてありますが、こちらの概要と、一般的な福利厚生サービスとの相違点と共通点を教えて下さい。

鈴木弁護士:簡単に言うと「産業医」の弁護士バージョンです。
会社と契約をし、会社自身ではなく従業員さんのプライベートな問題をケアするという仕組みです。

福利厚生弁護士のポイントは2つあります。
1つは、企業の福利厚生制度であるため、企業様の産業弁護士という立場になる点です。
もう一つは、従業員がプライベートの悩みを弁護士に無料で相談できるという点が特徴となっています。

元々、会社の顧問弁護士は会社の仕事をするので、従業員の個人的な悩みを取り扱いません。
そこで、従業員さんが何らかの悩みを抱えているときは、自分で弁護士を探さなくてはなりません。

しかし、弁護士と日常的に接点がある方は少ないため、自分に合った弁護士を見つけることは簡単ではありません。

従業員さんが会社に言えないプライベートな悩み―例えば、旦那様と揉めている、近隣トラブルがある、相続や介護など―を抱えていると、日々の仕事のパフォーマンスが下がります。

また、場合によっては離職してしまうこともあります。
このような個人的な問題は、会社の上司になかなか話せませんし、上司が部下に退職理由を聞いても本当の答えが返ってこないという状況になります。

そこで、このような従業員のプライベートな悩みを弁護士が福利厚生としてケアすることにより、従業員の生産性が向上し、離職を未然に防ぐことができます。

また、従業員さんにとっても、弁護士に気軽にアクセスできるメリットがあります。

mySDG編集部:正社員だけではなく、非正規で働いている方も相談できるのでしょうか。

鈴木弁護士:企業側の要望を踏まえたプランの設計次第ではありますが、正社員以外の方も相談の対象に含むことはもちろんできます。
また、従業員のご両親、子ども、ご親族などからの相談もプランに含むことができます。

mySDG編集部:福利厚生弁護士さんのイメージはだいたい把握できました。相談内容として介護や相続のほかにも、例えば我が子が学校で問題を起こしたということも対応できるのでしょうか?

鈴木弁護士:福利厚生弁護士サービスは、基本的には法的な問題を取り扱っています。
お子さんが学校でトラブルになった場合、損害賠償や権利関係の問題になるケースが多いと思います。

そのような法的な点は、もちろん対応できます。
また、精神的な悩みであれば、福利厚生弁護士よりもカウンセラーさんなどに相談する方がよいかもしれません。

そのため、カウンセラーさんなどの他業種とも協力して対応することを考えています。

mySDG編集部:ケースバイケースで、専門のカウンセラーさんが入って、従業員さんの悩みを一緒に解決することもできるのですね。

鈴木弁護士:はい。悩んでいる方に寄り添い、最善の解決を目指したいと思っています。
従業員さんが生き生きと働けば、会社の生産性や業績が上がります。
業績が上がると収める税金が増えるため、地域活性化にもつながります。

つまり、従業員さんの心の安定は、SDGsの「持続可能な社会」の実現に結び付くのです。
「社会」というのは、人間がいるからこそ成り立っています。
国は国民で成り立っており、会社も従業員さんが基盤です。

一人ひとりが自分らしく気持ち良く働いていただけるよう、福利厚生弁護士サービスに取り組みます。


■福利厚生弁護士サービスの活用で、世の中全体を元気にしたい

mySDG編集部:福利厚生弁護士の立ち上げなどでご活躍されていますが、今後、どういったことにフォーカスをして、新しい展開をされたいか、お聞かせ下さい。

鈴木弁護士:福利厚生弁護士の仕組みの認知度が低いと思うので、サービスの普及を図っていこうと思います。

普及には2つのハードルがあります。
まず弁護士というのは、一般的に敷居が高いと思われているので、そもそも弁護士に日常的に相談をしない会社様も存在するというハードルです。

もう一つは、仮に顧問弁護士がいる会社様でも、従業員の私的な悩みのケアが企業価値の向上に繋がることに気付いていない場合があるため、従業員のプライベートな悩みのケアまではしないというハードルです。
この2つのハードルがあるため、福利厚生弁護士サービスを採用している会社はまだ多数派ではないという状況です。

福利厚生弁護士サービスの取り組みをすれば、従業員の方も元気になり、今の日本が取り組んでいる働き方改革や健康経営、ウェルビーイング経営に資すると思います。

私の理想は、日本に存在する全ての企業様が福利厚生弁護士サービスを当たり前のように取り入れ、それによって非正規の従業員も含めて働きやすい環境をつくるということを目指しています。

今はまだ福利厚生弁護士サービスの認知度が低く、かつ企業様もこういったニーズに気づいていないので、サービスの存在を知らせるなどして、普及を図っていきたいです。個人の自分らしい生活と経済への貢献ができれば、これほど嬉しいことはありません。

mySDG編集部:福利厚生も含め、「こういうサービスがあります」という社内でのお知らせがない場合がよくあります。
私が以前所属した企業では、福利厚生やウェルビーイングに関する情報があまり流れてきませんでした。

制度について、企業様の福利厚生担当者が説明するといったサポートが必要だと思います。

鈴木弁護士:そうですね。私の場合、サービスの開始にあたり、自ら対面やオンラインで従業員の方向けの説明会を設けたり、従業員の方への制度案内のチラシを配布したりすることなどをしています。

福利厚生弁護士は、企業様が従業員に対し福利厚生として提供するサービスです。
したがって、従業員の利用しやすさが大切です。

そのため、本サービスの大きなポイントとして、従業員さんが会社を介さず、直接私にアクセスできるようにしています。
サービスの導入時に、利用する従業員の方に私のメールアドレスや電話番号を教えます。

そして、従業員さんが、「○月○日に相談をしたいです」と、私に直接メールや電話などでコンタクトした後、対面、オンライン、電話などで相談対応を行います。

mySDG編集部:コンタクトを取るまでに2ステップ、3ステップという段階があると、相談も諦めてしまいますが、直接コンタクトを取れるのは魅力的ですね。

鈴木弁護士:お悩みの種類や程度などに応じて、従業員さんと個別契約を結んでしっかりとしたサポートもできます。
将来的には一人ひとりの方が司法や弁護士へのアクセスがしやすい社会を目指しています。

「SDGs」というと、どうしても海外や欧米のスタイルを目指しがちですが、そうではなく、まずは自分の身の回りの人々を幸せにすることが大切だと思います。
そして、その幸せが徐々に広まっていくといいと思います。

私は地域貢献をとても大事にしています。
神戸から「輪」を広げ、日本が元気になり、経済的・社会的に豊かな未来を実現したいと思います。

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